以前、触れさせていただきましたが、今年に入り、規模の大小、業種に関わらず、企業が成長
戦略として、M&Aに大きく舵を切った印象があります。
弊社にも、今まで新規立ち上げを成長戦略の柱と位置づけていた企業様からのM&Aの問い合わせが
急増しており、担当の方とお話をする機会が増えております。
しかし、そこで感じることがあります。
戦略として、M&Aに舵を切ったものの、社内にM&Aについてのリソースがないのです。
当たり前といえば、当たり前なのですが、M&Aにおいて、
M&Aの目的は何か?
どういう手続で進めていくのか?
対象企業(買収候補企業)の何をみるのか?
M&Aアドバイザーをどう使うのか?
取得後の統合戦略の考え方、注意点は?
などに対する理解は必須です。
ある一定の規模の会社であるなら、ナレッジのあるM&A担当者を雇用することは可能でしょうが、
そうでないかぎり、M&A担当者を雇用することはできません。
しかしながら、上記のようなM&Aに対する理解は必須!です。
ビザインでは、組織内にM&Aのナレッジを組込むお手伝いをさせていただきます。
M&Aに対する社内研修
委託組織内M&A担当者
などをご提供させていただきます。
お気軽に御相談ください。
成熟経済下にあって、企業規模、業種を問わず、M&Aは、有効な成長戦略の一つ。M&Aの経験のない、やや大き目の中小企業、中堅企業の組織内M&Aアドバイザーが必要とされる時代になったと感じるこの頃。。。。このメリットは多岐に渡ります。
M&Aは、特別なことではなく、企業規模に関係なく、売り側と買側に関係なく、経営戦略のone of them.明確な目的とスピードが重要。
M&Aの案件を紹介して、買う気があるのに、返答が遅いとチャンスを逸することになる(このパターンは多い。)。
何でもいいから、良い物があったら紹介して欲しいというスタンスでは、まず成功しない(私も原則案件を紹介しない)。明確な戦略があるからこそ、現状業績が悪い売り案件も、割安で買える良案件に変わる可能性がある(中小企業は経営者が変わると良くも悪くも劇的変化があるものです)。
スピードと明確な戦略、とにかく重要です。
低成長且つ不振に喘ぐ日本経済。
生き残りの活路は、成長著しい新興国。。。という文字は、毎日、どこかで目にします。
勿論、総論では間違っていません。しかし、誰でも、どんな方法でも成功する訳でないことはちょっと考えると分かります。
それを裏付けるように、新興市場からの撤退や、新興市場での将来的な不安、利益確定の為、新興国での事業をローカルな企業などに売却する動きも目立ってきています。
新興国への進出が、低成長且つ不振に喘ぐ日本経済、引いては、自社の将来性成長性への不安をブレークするための手法であるなら、もう一つ、別の戦略も残されています。このもう一つの戦略を着々と進める小規模・中小企業が増えています。
それは、IN_INのM&A。
一概には言えませんが、取引先からの要請と指導による新興国市場への進出は別として、国内がだめ→新興国だ!的な短絡的な発想による進出に、比べるとこのIN_INのM&Aは遥かにリスクが小さいと思います。
では、なぜ、リスクが低いであろう、国内のM&Aではなく、新興国への進出をするのか?
それには、M&Aに対する認知と文化が大きく影響しているように思います。
ちょっと、考えてみてください。
中小企業の新興国市場セミナー的なものと
中小企業の成長戦略としてのM&Aセミナー的なものと
どちらが多く開催されている印象をお持ちですか?
恐らくは、中小企業の新興国市場セミナーの方だと思います。
認知不足とM&Aが一般化していない証左ではないでしょうか?
ここで言いたいのは、
新興国市場への進出は特別な場合を除いて、リスキが高く、決して新興国市場=成功ではないということと、低成長の市場でもM&Aという成長戦略があるということ(こちらも勿論リスクは伴い、成功を保証するものではありません)。
そして、小規模・中小企業の中には、新興国市場へ!という風潮に踊らられることなく、着々と国内のM&Aで成長を果たしている会社があるということです。
小規模、中小企業同士の国内のM&A、(仲間同士による)合併などによる成長戦略もお考えてみてはいかがでしょうか?
さきほど、M&Aの売り手様との面談を終えて、事務所に戻りました。
このディールの成否は近々に出ると思いますが、成約すれば、業績不振の事業が取るべき、最高のお手本になると思います。
売り手様の撤退戦略と同時に行われるコア事業への成長投資。瞬時の判断による選択と集中。とくに、撤退の意思決定が遅れる、或いは決断できないで復活の機会を逸する会社様が多い中で、お見事です。決まればですが。
撤退戦略をM&Aで。そこで得た資金を即座に、成長分野に投資。こちらの投資も案件の調整も撤退戦略と同時に進めております。
M&Aはリソースを取得するということ。これが起点であり最も重要なこと。
決して、形式・手続き的な結果である株式を取得するとか、事業を譲受ということという理解だけではいけません。
リソースを考えず、「取得したら業界売上No.1」的な考えのM&Aは尽く失敗に終わっています。
買収先の企業の売上、利益も勿論大事です。
しかし、買収先企業のもっているリソース、例えば人材、ノウハウ、スキル、取引先などのリソースを自社とのシナジー或いは自社の新規事業にどう活かすか?これが最も重要であり、買い手様の力が試されるM&Aの醍醐味だと思うのです。
弊社が扱ったリソース重視の案件には、
買収先の売上や利益はどうでもよい、人材と技術が欲しいという理由で成約したもの、或いは、同様に買収先の売上や利益はどうでもよい、ノウハウが欲しいということで成約したものなどがあります。
M&Aは
M&Aを人材確保の視点(中小企業は人材確保難)
優良取引先確保の視点(優良企業との新規口座の開設は至難の技)
ノウハウ・技術確保の視点(時間を買う)
などのリソースの視点でみましょう。
結果的に、買収先の売上、利益まであるならラッキー。買収先の売上、利益ありきではないと思います。
企業の目的は、持続可能な長期間に渡る利益をあげること。顧客満足度も、ステークホルダー満足度も、従業員満足度も、社会貢献も、この利益がないとできないこと。長期間に渡り持続可能は利益を上げるということは、顧客が認識できて、且つそれが顧客のベネフィットに繋がる他社との”違い”を作ること。
この”違い”が曲者なんです。
時間があれば解決できる(他社が模倣できる)違い、計ることができる違いは、往々にして、自社で思っているほど、長期間に渡り持続可能に貢献しません。
時間があれば解決できる(他社が模倣できる)違い、計ることができる違いしかどうしてもないビジネスの場合、その取るべき戦略は、スプリンクラー方式によって一気に市場を取り、先行者利益を取ること。
本日のクライアント様のご相談は、上記のような新規事業をデット・ファイナンスでやるか、エクイティ・ファイナンスでやるかというもの。私は勿論エクイティでやることを進言しました(その他ここでは書き切れない色々な情報の加味の上ですよ。)。
エクイティ・ファイナンスとは、金融機関の融資ではなく、出資を得るという資本取引です。資本を受入れるということのデメリットは、銀行の融資に比べるとリクスもコストも大きいのですが、圧倒的なメリットは、一気に事業を拡大できることです。
本ケースの場合の一般的なスキームは、新設分割により、新規事業を新会社に分割します。その上で、増資を行い、出資者に引き受けてもらう、新株引受になります。