株式交換・株式移転の法務の留意点

[簡易株式交換]

完全親会社は、交付する財産の金額が純資産額の5分の1以下である場合には簡易株式交換に該当し、株主総会決議を省略することができます。ただし、反対株主が完全親会社の総株式数の6分の1を超えた場合や完全親会社が譲渡制限会社であり譲渡制限株式を割り当てる場合は株主総会を省略することはできません。一方、完全子会社には簡易株式交換の制度はありません。
株式移転には簡易組織再編の制度はありません。

 

 

[略式株式交換]

親会社・子会社間の株式交換において、親会社が子会社の90%以上の議決権を保有している場合、その子会社が完全親会社になるか完全子会社になるかにかかわらず、子会社側の株主総会を省略することができます。
ただし、

(1)子会社が完全子会社になる場合でその子会社が公開会社であり、その株主に対し譲渡制限株式が交付される場合、または、

(2)子会社が完全親会社になる場合でその子会社が全株式譲渡制限会社であって株式の交付を行う場合には略式株式交換に該当したいため、株主総会決議を省略することはできません。

(1)の場合には、株主総会の特殊決議が必要になります。

 

 

[反対株主の株式買取請求]

合併、会社分割、株式交換、事業譲渡の場合、反対株主による株式買取請求が株主総会の日程に影響を与えないのに対し、株式移転の場合の反対株主による株式買取請求は、株主総会の日程に影響与えることに注意が必要です。

 

 

[債権者保護]

株式交換・株式移転の場合、原則的には債権者保護の手続きは不要ですが、以下に該当する場合は必要となります。

(1)完全子会社の新株予約権付社債の新株予約権が株式交換・株式移転により完全親会社の新株予約権に転換される場合の、完全子会社の新株予約権付社債権者
(2)株式交換において交換対価が完全親会社の株式以外の場合の完全親会社の全債権者
(3)完全子会社の新株予約権付社債を承継する株式交換に該当する場合の完全親会社の全債権者
(4)株式交換において完全親会社の資本金もしくは資本準備金以外の勘定科目(その他資本剰余金)を増加させる場合の完全親会社の全債権者

 

 

[子会社による親会社株式の所有]

完全子会社になる会社が自己株式を保有している場合、株式交換により、完全子会社が完全親会社の株式を取得することになりますが、これは例外として認められています。
しかし、このやむなく取得した親会社株式は、遅滞なく処分しなければなりません。

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