会社分割の会計の留意点

[単独新設分割(分社型分割)]

単独新設分割の場合、分割会社と継承会社は親子関係となるため共通支配下の取引に準じた処理となり、分割資産・負債は全て帳簿価格で移転します。ただし、分割後速やかに継承会社株式を第三者に譲渡する場合は、「取得」(パーチェス法)として時価で継承することに注意が必要です。
継承会社では利益準備金およびその他利益剰余金を引き継ぐことができないことに注意が必要です。以下(木俣貴光「企業買収の実務プロセス」 中央経済社)参照

 

 

[吸収分割(分社型分割)]

吸収分割の場合、分割会社の取得する承継会社株式が、分割会社にとって子会社株式(承継会社が分割会社の連結子会社)となるか、関連会社株式(承継会社が分割会社の持分法適用会社)となるか、あるいはその他の有価証券になるかによって会計処理が違います。

 

 

(1)子会社株式に該当する場合

この場合は「逆取得」に該当するため、承継会社は帳簿価格にて資産・負債を引き継ぎます。一方、分割会社は移転事業に関する投資が継続していると考え、資産と負債の帳簿価格の差額が子会社株式となり、分割に伴う移転損益は発生しません。以下(木俣貴光「企業買収の実務プロセス」 中央経済社)参照

 

 

(2)関連会社株式に該当する場合

この場合は、「取得」に該当するため、承継会社は時価にて資産・負債を引き継ぐことになります。一方、分割会社は移転事業に関する投資が継続していると考え、資産と負債の帳簿価格の差額が子会社株式となり、分割に伴う移転損益は発生しません。以下(木俣貴光「企業買収の実務プロセス」 中央経済社)参照

 

 

(3)その他有価証券に該当する場合

この場合は、「取得」に該当するため、承継会社は時価にて資産・負債を引き継ぐことになります。一方、分割会社は移転事業に関する投資が継続していないと考え、対価として受け取った承継会社株式は移転した事業に係る時価または承継会社株式の時価のうち、より信頼性をもって測定可能な時価に基づいて算定します。そのため分割に伴う移転損益が発生することになります。以下(木俣貴光「企業買収の実務プロセス」 中央経済社)参照

 

 

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